2021年2月1日、教会長による月初め祈願祭の教話の概要です。
※音声は2月3日配信のポッドキャスト「よいことを聞き、よいことを見る」で聞くことができます。
今年は四代金光様(金光鑑太郎先生)が亡くなって30年。歌集『土』(13集)を読んでいます。そこには、金光様が日々見られたこと、感じられたことがたくさん歌になって残っています。歌の題材はさまざまですが、金光様が何に心動かされたかを知ることで、金光様のご信心を偲ぶことができます。私の信心の読解力では浅薄な解釈しかできませんが、感じたことをお話しします。
【自然のいのちの働きを見る眼】
☆金光様のお歌の中には、木草、花、鳥などを通して、四季の移り変わり、自然の営みを読まれたものが多くあります。そこに神様のお働き、自然の中に生きるいのちと自分のいのちがともにあることを通して、いのちを生かす厳粛な神様の働きや共に生かされて生きている喜びを感じます。
「わが軒の花みちて咲くセッコクのよき香ただよはすよりゆくわれに」
「もぢずりの青葉が雨にぬれてをり花茎見せてくるる日やいつ」
「太陽の照らし給へる境内のひかりのなかをとぶつばくらめ」
【自分を見つめるもう一つの眼】
☆金光様は、自分をいつもじっと見つめておられたように感じます。それは、神様に与えられたいのちと御用の自覚や、見すごしやすい心の動きが捉えられているようです。自分とはいったい何者なのかということを常に問い、確認して、今月今日を生きておられたのではないかと思います。
「賜びしわがみつとめの座にあさまだきあたらしき今日のいのち来て坐る」
「知らぬといふことを知れりと又してもわれを見つめてつぶやきにけり」
「いひわけは自己過保護ぞと思ひつついきさついふをわがやめにけり」
「血糖値少し高きは正にわが食べ過ぎ運動不足が元なり」
【世界を見る眼と祈り】
☆金光様の歌には、新聞やテレビを通して知った世界の出来事や時代の問題が詠み込まれています。これは、金光様の祈りなのだなあと思うのです。ただ単にあったことを三十一文字に残しているのではなく、ある出来事が、金光様の心を揺さぶり、祈りとなったということだと思います。ご霊地にありつつ、眼は常に世界に開かれ、世界を祈っておられたことがよくわかります。
「ペルシア湾石油の海と化せるさま自然のなげき人類のなげき」
「つとめよりもどり湯にひたる地震津波の被災地のことわが思ひつつ」(日本海中部地震)
「保つべき節度忘れて度を過ぎしかなしきマイナスしきりに思ふ」(先端医療と倫理の記事を見て)
【あらゆるものに感動と喜びの眼を開く】
☆歌人のようにあらゆるものに感動を見出す眼を持つことは信心にも大切です。神様のお働きを森羅万象に中に見つけ出すこと、神様の思いをいろいろな出来事の中に見出すこと、自分の心の動きを時には厳しく見つめること。金光様はいつもそれをなさっていたのだと思いました。
「会うことの出来得るよろこびわがいのち人に会ひ花に会ひ鳥に自然に」